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Location:ホーム実験手法別製品・技術情報BIA(生物物理学的相互作用解析) > 相互作用解析の王道

Presented by Dr. Kouhei Tsumoto
東京大学大学院
医科学研究所
津本 浩平 先生

概論:タンパク質/バイオ医薬品の品質評価における、SPR/カロリメトリーの有用性

目次

  1. はじめに
  2. タンパク質の構造安定性
  3. タンパク質の濃度と活性(当ページです)
  4. まとめ

タンパク質の濃度と活性

活性を持つタンパク質の濃度はどのようにして決定されるのでしょうか。タンパク質の濃度決定方法として最も一般的な方法は、Lowry法、Bradford法のような比色分析、あるいは個々のタンパク質が持つ固有のモル吸光係数を用いて吸光度から濃度を求める方法です。しかし、タンパク質溶液中に存在するすべてのタンパク質がネイティブ構造を取っているとも限りません。いずれの方法でも、活性を持つタンパク質の濃度を正確に決定するためには、活性測定等何らかの方法を用いる必要があります。それでは、ネイティブ構造を持つタンパク質のみの濃度をどの様に議論すればよいのでしょうか。これに関しては、以前、対談形式で議論させていただきましたが(参照 対談:アフィニティーを測定する際の濃度測定はどうする?)、結合活性をベースに定量できる、SPRやITCが非常に有効です。

SPRでは、センサーチップに固定化した分子に対して結合活性を示すアナライトタンパク質のみが結合レスポンスとして検出されます。よって、変性、ネイティブ構造に関わらずアナライトタンパク質すべてが結合するリガンド(たとえば、抗体に対するProtein Aなど)と、ネイティブ構造のみに対して結合するリガンド(たとえば、抗体に対する抗原など)を用意し、それぞれを用いてSPRでの定量系を構築します。すると、タンパク質全体の量と、活性型の量を別々に求めることが出来ます。このネイティブ構造の割合を算出するという考え方は、変異導入による高機能性タンパク質の設計や、バイオ医薬品の純度評価、保存状態の評価をする上で非常に重要な考え方です。(図4)

図4
図4. タンパク質の活性度定量評価

さらに、SPRでは、その技術の強みを生かした解離定数(KD)、速度定数(ka, kd)の値を用いた、活性の品質評価手法はすでに、多くのバイオ医薬品メーカーが取り入れています。翻訳後修飾の違い、部分変性、凝集などにより、SPRのセンサーグラムは大きく影響を受けます。このセンサーグラムを用いた、バイオ医薬品の性質、品質の評価は、重要な手法のひとつといえるでしょう。 一方、ITCを用いることにより、化学量論比(ストイキオメトリー、結合比ともいいます:n)と解離定数(KD)を正確に評価することが出来ます。予測された、もしくは標品に対する結合比に対する、KD値の変化は、対象タンパク質の品質の変化を明確に表すことが出来ます。KDの変化、さらには反応熱の変化は、タンパク質の持つ性質を的確に反映しているのです。これに関しては、以前の対談(対談:アフィニティーを測定する際の濃度測定はどうする?)をご覧ください。

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相互作用解析の王道」について

相互作用解析の王道」は、2009年8月よりバイオダイレクトメールでお届けしています。

連載記事一覧
タイトル 配信
ご挨拶 連載「相互作用解析の王道」を始めるにあたって 2009年8月
第1回 原理:其は王道を歩む基礎体力 2009年10月
第2回 実践編その1:抗シガトキシン抗体の相互作用解析例 2009年12月
第3回 対談:アフィニティーを測定する際の濃度測定はどうする? 2010年2月
第4回 実践編-2:相互作用解析手法を用いた低分子スクリーニング その1 2010年4月
第5回 実践編-3:核酸-タンパク質相互作用の熱力学的解析 2010年8月
第6回 概論:タンパク質/バイオ医薬品の品質評価における、SPR/カロリメトリーの有用性 2010年11月
第7回 抗体医薬開発の技術革新~物理化学、計算科学との融合~ 2011年5月
第8回 対談:バイオ医薬品の品質管理技術の発展性~相互作用の観点から~ 2011年8月
第9回 対談:バイオ医薬品の品質管理技術の発展性~タンパク質の構造安定性の観点から~ 2011年9月
第10回 実践編-4:フラグメントライブラリーの測定におけるSPR/ITC戦略の実効性と効率的活用法(1) 2011年10月
第11回 実践編-4:フラグメントライブラリーの測定におけるSPR/ITC戦略の実効性と効率的活用法(2) 2011年12月
参考 用語集  
〈応用編〉連載記事一覧
タイトル 配信
第1回 抗体医薬リードのカイネティクス評価手法の実例 2012年5月
第2回 細胞表面受容体の弱く速い認識を解析する 2012年7月
第3回 SPRを用いた分子間相互作用測定における、“低”固定化量の重要性 2012年8月
第4回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(1) 2012年9月
第5回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(2) 2012年10月
第6回 「ファージライブラリによるペプチドリガンドのデザインにおける相互作用解析」 2012年11月
第7回 SPRとITCの競合法を用いたフラグメント化合物のスクリーニングとキャラクタリゼーション 2012年12月
第8回 DSC(示差走査熱量計)によるタンパク質の熱安定性評価(3) 2013年2月
第9回 熱分析とタンパク質立体構造に基づくリガンド認識機構の解析 2013年3月
〈最終回〉
最終回 連載「相互作用解析の王道」を終えるにあたって ~3年間を振り返って、そしてこれから~ 2013年4月

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関連リンク

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東京大学 医科学研究所 疾患プロテオミクスラボラトリー


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