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まさか、こんなに簡単にin vivoでsiRNAを神経細胞へ導入できるとは!
Dharmacon Accell siRNA お客様の声

中嶋 秀満様
写真は久保様(左)、中嶋様(中央)、板倉様(右)

大阪府立大学 大学院生命環境科学域 獣医学類 動物構造機能学分野(応用薬理学教室)
中嶋 秀満 様
久保 岳也 様
板倉 正典 様

siRNAのトランスフェクションが難しいとされている神経細胞。「培養細胞での導入実験では、siRNAの導入がうまくいかず結果が得られなかったので、in vivoでの導入実験がうまくいくはずがないと思っていました。」と当時をふりかえり、お話しくださった大阪府立大学の中嶋先生と久保様(当時大学院3回生)に、実験期間わずか3か月で、in vivoでのトランスフェクションにおいて驚きの結果をもたらした理由をお伺いしました。


in vivoでのトランスフェクション試薬の選定

当研究室では、アルツハイマーやパーキンソン病などの細胞の凝集に起因するとされている神経変性疾患の病態解明と創薬研究を中軸に研究を進めています。そのため、ターゲットとなる遺伝子をラットやマウスの神経細胞内でノックアウトした時の細胞の挙動やシグナル伝達経路を、in vivoで詳細に観察したいと考えていました。当時、論文等でin vivoでのトランスフェクションの方法を調査しましたが、神経細胞が未発達な胎生動物での報告しかなく、トランスフェクション試薬とのコンジュゲートで行う方法が一般的でした。また我々は成熟動物での遺伝子ノックダウンを企図してましたので、ノックダウン効率が満足に出るのだろうかという懸念もありましたし、さらに導入試薬を使用することで、細胞毒性や脳に与える影響、特に炎症の心配がありました。


そんな折、「トランスフェクション試薬いらず」と銘打ったDharmacon Accellのフライヤーを入手しました。そこには、遺伝子導入試薬なしでsiRNAの導入ができること、さらにAccellをトランスフェクションした海馬をスライスしたデータが掲載されていました。そのデータを拝見し、これはin vivoの系でも使えるのではないか?と物は試しに使用してみることにしました。

※Accell siRNAは独自の化学修飾により、トランスフェクション試薬を使わずに細胞へ導入できるsiRNAです。細胞への導入は、Accell siRNAを専用培地(Accell siRNA delivery media)と混ぜて細胞を培養するだけで、従来導入が難しかった細胞でもRNAi実験を可能としました。トランスフェクション試薬による細胞毒性を回避でき、配列デザインと化学修飾によりオフターゲット効果を最大限抑えているため、目的の遺伝子をより特異的にノックダウンします

in vivoでのトランスフェクション方法

当時、siRNAをダイレクトに脳内微量投与で導入するという事例はなかったため、とにかく試してみようという感覚でした。研究対象の遺伝子がちょうどAccellのコントロールキットに含まれるGAPDHだったため、まずコントロールキットを試しに購入しました。ICV(intracerebroventricular)でラットの側脳室内に直接投与し、3日間飼育後、4日目に脳切片を作成し、蛍光顕微鏡観察しました。

※コントロールキットには、Accell Cyclophilin B Control siRNA(ポジティブコントロール)、Accell GAPD Control siRNA(ポジティブコントロール)、Accell Non-Targeting siRNA(ネガティブコントロール)、Accell (GreenまたはRed) Non-Targeting siRNA(蛍光標識ネガティブコントロール)、5x siRNA buffer(1.5mL)、Accell siRNA delivery media(100 mL)が含まれています。

先生、光ってます!

下の階の共焦点顕微鏡室にいた久保君から、興奮気味の電話がかかってきました。「先生、光ってます!」その一声を聞いて、私も慌てて暗室に向かいました。

顕微鏡を覗くと、蛍光標識されたネガティブコントロールが細胞内に導入されたことを示す、強い蛍光発光が見られました。siRNAが非特異的に全体的に拡散しているのかと疑いましたが、よく見ると間違いなく神経細胞の形態に取り込まれていました。海馬は、錐体型の神経細胞が層状に配列しており、観察が容易なのですが、特にその部位で見事なほど綺麗に染まっていました。

図1. クリプト構造模式図
上段:マウス海馬 CA1 領域錐体細胞における FAM-labeled control siRNA の取り込み
右図:核染色(DAPI)とのマージ像、Scale Bar = 100 µm
下段:上段の白枠の拡大像
Scale Bar = 10 µm

さらに、大脳皮質、線条体、中脳、驚くことに小脳にまでも、軒並み導入されていました。大型の小脳プルキンエ細胞への導入も見事でした。中でも、特に興味深かったことは神経細胞に特異的にトランスフェクションされていたことです。グリア細胞、オリゴデンドロサイト、マイクログリアなどには導入がほとんど観察されませんでした(各マーカー抗体と神経細胞のマーカー抗体NeuN二重蛍光染色:参考文献3参照)。Accellの脳室内投与によって非常に手軽に、アダルトラットの神経細胞特異的にトランスフェクションして目的の遺伝子をノックダウンできることがわかりました。

このファーストトライアルで遺伝子導入、免疫染色とウェスタンブロッティングで遺伝子のノックダウン結果を確認し、実験自体は3か月という短期間で終了しました。もし、他のトランスフェクション試薬を使用していたら、トランスフェクション効率の至適化の条件検討に時間を要するため、このような短期間で行うことは不可能だったでしょう。

長期ノックダウンの可能性も

今回の検証では脳室投与から4日目でのノックダウンを確認しましたが、さらに延長して10日間までフォローしています (参考文献1)。確認した結果、1週間後までノックダウンが継続できていることが分かりました。現在、さらに長期ノックダウンを検証中です。

※海馬の初代培養でAccellを投与して16日間ノックダウンが継続したというデータもあります。

また、Accellを導入して、経時変化を観察したところ面白い知見も得られました。導入されたsiRNAは、はじめは樹状突起、軸索等を含む神経細胞全体に拡散していたのですが、時間が経つにつれ、細胞体に集まってきたということです。

最後に

Accellを用いて、in vivoでマウス、ラット等の実験動物の神経細胞に特異的に、siRNAをトランスフェクションすることができました。しかも、脳室投与するだけという簡単な作業だけでというところが非常に助かっています。今後もAccellを使用して、実験を継続していく予定です。

 

中嶋先生、久保様、板倉様、お忙しい中貴重なお時間とご意見をありがとうございました。

※お客さまの使用経験に基づく記載です。


参考文献

  1. Itakura,Masanori. & Nakajima,Hidemitsu. & Kubo,Takeya. et al. Glyceraldehyde-3-phosphate Dehydrogenase Aggregates Accelerate Amyloid-β Amyloidogenesis in Alzheimer Disease. THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY 290,26072-26087(2015)
  2. Nakajima,Hidemitsu. & Kubo,Takeya. & Itakura,Masanori. et al. Nuclear-translocated Glyceraldehyde-3-phosphate Dehydrogenase Promotes Poly(ADP-ribose) Polymerase-1 Activation during Oxidative/Nitrosative Stress in Stroke. THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY 290,14493-14503(2015)
  3. Nakajima,Hidemitsu. & Kubo,Takeya. & Itakura,Masanori. et al. A rapid, targeted, neuron-selective, in vivo knockdown following a single intracerebroventricular injection of a novel chemically modified siRNA in the adult rat brain. Journal of Biotechnology 157,326-333(2012)


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