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3段階精製ストラテジー【2】 初期精製(Capture)ステップ
~合い言葉は“質より量とスピード!~

3段階精製ストラテジー【1】~精製の基本戦略と煮物作りの意外な関係~はこちら

さて、前回の記事では“畑から収穫して泥を落とした大根”=“出発材料の細胞等を破砕して粗抽出した初期サンプル溶液を得る”ところまでご説明しました。“泥を落とす”とは、実際には精製前の前処理作業をさします。つまり、細胞を破砕した際に出る破片等のゴミを取り除くための遠心分離やフィルターろ過、場合によっては硫安沈殿のような沈殿法による清澄化処理を行うことです。

さて今回は、これらの前処理を経て沈殿物・固形物の取り除かれた初期サンプル溶液を、いよいよ精製ステージに持ち込むところからスタートします。


突然ですが、この初期状態のサンプル溶液にはいったい何種類くらいのタンパク質が含まれているでしょうか?

身近な研究材料である大腸菌で3,000~4,000個、ヒトで10,000個以上と言われています。皆さんの目的は、この中からたった1種類の目的タンパク質を取り出すことです。こう聞くと、「何とか純度を上げとねば!」と、効果のありそうな手法をやみくもに試そうとしてしまったりするかもしれません。そうならない為にここで重要なのは、自分の実験に必要な純度と回収量、すなわちゴールを明確に掲げておき、いかにそこへ最短ステップでたどり着くかの作戦を立てることなのです。

初期サンプル溶液からゴールにたどり着くまでの間を、大きく初期精製、中間精製、最終精製の3段階に分けて考えるのが、弊社の提唱する3段階精製ストラテジーです。

はじめにこの3つのステップの概要をご紹介します。

初期精製

目的タンパク質の濃縮、安定化を目的としています。初期精製後は、目的タンパク質が濃縮され、かつその性質と活性が保持されていることが重要です。

中間精製

サンプル溶液中に大量に含まれている不純物の除去が目的です。不純物として、目的タンパク質以外のタンパク質や、核酸、エンドトキシン、ウイルスが挙げられます。

最終精製

大部分の不純物はすでにサンプルから除去されているので、残存する微量の不純物や目的タンパク質に特性がよく似た物質の除去が目的となります。


それぞれの精製ステップについて、表1にまとめました。このように、各段階が担う役割は異なります。各段階の目的を考慮しながら、精製方法の選択や組合せを最適化することで効率的な精製プロセスを構築します。

表1. 三段階精製における各ステップの役割
精製ステップ 目的 精製方法の選択に重要なファクター
初期精製 目的タンパク質の単離、濃縮、安定化 処理容量、処理速度
中間精製 大量に含まれる不純物の除去 処理容量、分離能
最終精製 微量の不純物、目的タンパク質に特性がよく似た物質の除去 分離能、回収率

初期精製(Capture)ステップ

さて、いよいよ最初の精製ステップをはじめるわけですが、初期サンプル溶液中には上述のように非常に多くの夾雑タンパク質が含まれます。これら夾雑物の中にはプロテアーゼやグリコシダーゼのように目的タンパク質を分解してしまったり、機能を奪ってしまうような働きをするタンパク質も多数存在しており、目的タンパク質にとって実に危険きわまりない環境であると言えます。また一般にこの時点ではサンプルの液量も多いため、初期精製ステップでは“目的タンパク質をより安定な環境に移すこと”+“濃縮して液量を減らす事”が必要になります。

実際に用いる手法は、ケースによって様々です。

たとえば組換えタンパク質や抗体の場合は、アフィニティークロマトグラフィーをCaptureステップで行うことが多いですし、またサンプルの前処理で硫安沈殿による清澄化を行った場合には塩強度の高い状態を利用してそのまま疎水性相互作用クロマトグラフィーを行うケースもあります。このように選択肢はいくつかありますが、総合するとCaptureステップではイオン交換クロマトグラフィーが採用されるケースが多いといえます。

その理由としては、次の点が挙げられます。

  • どんなタンパク質にも共通して使用できる方法である:特定の条件がそろわないと使用できないアフィニティークロマトグラフィーと違い汎用性が高い
  • 速い流速で精製・濃縮できる:目的物を含むタンパク質群を素早く吸・脱着させることで、大雑把な精製に加え濃縮をかけられる

以上のことから、Captureステップで重要とされる要素を満たしていることがおわかりいただけると思います。

イオン交換クロマトグラフィーでは、バッファーpHや洗浄ステップの塩濃度を変えることにより吸着されるタンパク質をある程度コントロールすることが可能です。pHおよび洗浄ステップでの塩濃度を慎重に至適化して夾雑物の吸着をできるだけ減らし、目的タンパク質の結合量が最大になるような開始条件を選ぶことに注力しましょう。

また、初期精製の段階では分離能よりも処理容量や処理速度を高くすることが求められますので、比較的大きな粒子径(>90 μm)の担体が多く用いられます。弊社の担体では、 Sepharose Fast Flow (粒子径90 μm)などがこれにあたり、実際の製品ではHiTrap Q FF、HiTrap SP FFなどがあります。

イオン交換クロマトグラフィーについてもっと知りたい方は↓↓をクリック!

  • BioDirectメールバックナンバー 「イオン交換を使いこなそう(1)」はこちら
  • BioDirectメールバックナンバー 「イオン交換を使いこなそう(4)」はこちら

このように、Captureステップの合い言葉は、“質より量とスピード!”です。本ステップで得られた目的タンパク質を含むフラクションは、初期サンプルとくらべておよそ半数見当の夾雑物が取り除かれ、比較的安定に濃縮された状態となります。

しかしまだまだ安心できません。プロテアーゼやグリコシダーゼが一緒に回収されていることは十分考えられます。この後も気を抜かず、次のステップへ間をおかずに進みましょう。

次回は中間精製での留意ポイントをご紹介します。


三段階精製ストラテジー 全4回


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