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複数タグのススメ【1】
~His-tag編~

組換えタンパク質の精製について、これまでも何回か紹介してきましたが、原点に戻り、組換えタンパク質の実験系について連載します。
組換えタンパク質で使用されているタグでよく利用されているものにHis-tagとGST融合タンパク質があります。

今回はHis-tagについてご紹介します。


His-tagタンパク質は今日組換えタンパク質の精製で最も利用されているタグになります。
6分子またはそれ以上の連続したヒスチジンを目的とする組換えタンパク質のN末端またはC末端に連結します。

Hisタグタンパク質精製の一般的なフロー
His-tagタンパク質の一般的な精製フロー

特徴

  • タグ自身は立体構造をもたないため、変性条件でもアフィニティー精製が出来る
  • タグが小さいために組換えタンパク質に対する影響が少ない
  • 上記のため、構造解析をする際もタグを切断せずに使用することもある
  • 組換えタンパク質のN末端に活性ドメインがある場合はC末端にタグを接続することで不活化を回避出来る

ただしご存じの通り、クロマトグラフィーの手法で万能な手法が無いのと同じように、His-tagタンパク質を精製する上でいくつかの注意点があります。

注意点

  1. 宿主由来の成分にはヒスチジン残基のリッチな領域があり、非特異的吸着を起こしやすい
  2. 可溶性は目的タンパク質の構造に依存しやすい
  3. タグ部分の疎水性が高いため、内側に巻き込まれることがある

これらの観点から以下の対策をとります。

対策

  1. 結合バッファーに加えるイミダゾール濃度を5~40mMまでの間で調整する。更に精製度を上げるために、His-tagによるアフィニティー精製後、イオン交換やゲルろ過などの精製工程を組み合わせる
  2. 変性状態での精製の場合、精製の工程でリフォールディングを行う
  3. 不溶性タンパク質や、タグ部分が露出されていない場合は変性剤などを添加して精製する

初期精製はNiイオンなどの2価金属イオンとの配位結合を利用していますので、Ni SepharoseHisTrapなどの担体を用いて短時間に分離、濃縮精製が可能です。
どこまで純度を高める必要があるか、という観点で、この先の精製ステップが決まります。

His-tagタンパク質精製のガイドページはこちらへ。
アプリケーション例などのリンクがありますので、ご参照ください。

次号ではもう一つの組換えタンパク質、GST融合タンパク質をご紹介します。



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