トップページに戻る

検索のヘルプ

Location:ホームテクニカル情報配信サービスバイオダイレクトメールバイオ実験の原理と方法

抗体精製をマスターしよう (8)

モノクローナルIgGの高純度精製

抗体精製イメージ第7回「モノクローナルIgGの精製プロトコール」では、モノクローナルIgG精製の一般プロトコールについてご紹介しました。Protein G/A を用いたアフィニティークロマトグラフィー精製は特異性の高い精製方法ですが、精製IgG中に微量のタンパク質が混在することがあります。このような場合は、イオン交換、疎水性相互作用、ゲルろ過クロマトグラフィーのステップを追加して純度を高めます。

また、失活しやすい不安定な抗体の場合には、精製条件の至適化をすることで純度や安定性を高めることができます。

今回は、4つの精製例から、効率的に高純度のモノクローナルIgGを精製するためのスキームをご紹介します。

マウスモノクローナルIgGの精製条件至適化と自動二段階精製

Protein A やProtein G を利用したアフィニティークロマトグラフィーによるモノクローナルIgGの精製は便利な手法ですが、動物種やサブクラスの種類によって抗体の親和性が異なるため、担体への結合、解離条件を至適化する必要があります。

ここではIgG1HiTrap rProtein Aで精製するときの条件検討例と溶出画分をゲルろ過クロマトグラフィーでさらに精製した例について紹介します。ここではIgG1はProtein A カラムへの結合が弱いので、結合バッファーの条件を至適化する必要がありました。条件検討にはÄKTAFPLCの自動スカウティング機能を利用しました。

精製操作

モノクローナルIgG1を含む細胞培養上清(90 ml)

 

HiTrap rProtein A による精製(回収)

結合バッファーの最適塩濃度の決定

図1

  • サンプル:モノクローナルIgG1を含む細胞培養上清 90 ml
  • カラム:HiTrap rProtein A, 1ml
  • 結合バッファー:100 mM リン酸ナトリウム, 0~3.5 M NaCl, pH7.4
  • 溶出バッファー:100 mM クエン酸ナトリウム, pH3.0
  • 流速:1 ml/min
  • システム:ÄKTAFPLC
図1 HiTrap rProtein Aと抗体の結合に最適な塩濃度の自動スカウティング

まず、HiTrap rProtein A カラムへの最適結合条件の検討を行いました。ÄKTAFPLC で0 ~ 3.5 M の範囲で様々なNaCl 濃度の結合バッファーを自動調製し、結合条件の自動スカウティングを行った結果、NaCl 濃度が2.5 M の場合に抗体とrProtein A カラムとの結合が最適(ピーク面積が最大)となることがわかりました。

溶出バッファーの最適pHの決定

図2

  • サンプル:モノクローナルIgG1を含む細胞培養上清 90 ml
  • カラム:HiTrap rProtein A, 1ml
  • 結合バッファー:100 mM リン酸ナトリウム, 100 mM クエン酸ナトリウム, 2.5 M NaCl, pH7.4
  • 溶出バッファー:100 mM リン酸ナトリウム, 100 mM クエン酸ナトリウム, pHグラジエント 7.4~3.0
  • 流速:1 ml/min
  • システム:ÄKTAFPLC
図2 抗体溶出の最適pH条件の検討

続いて、溶出液のpH条件検討を行いました。一般にProtein A カラムからの溶出にはpH 3.0 の酸性溶液を使用します。不安定な抗体の場合には失活する恐れがあるため、よりマイルドな溶出条件を検討します。pH 7.4 ~ 3.0 のpH グラジエント溶出を行った結果、IgG1 はpH 4.5 で溶出されることが分かりました。

ゲルろ過クロマトグラフィーによる最終精製

モノクローナルIgGの全自動精製

ÄKTAFPLCを使用し、HiTrap rProtein A カラムから溶出されるIgG ピークをSuperloop内に回収して、ゲルろ過カラムに自動添加する全自動2 段階精製を行った結果、約1.2 mg のモノクローナルIgG1を精製できました。全自動で精製することにより精製時間の短縮、大量サンプル処理、モノクローナル抗体のルーチン精製が可能になりました。

図3

  • サンプル:モノクローナルIgG1を含む細胞培養上清 90 ml
  • カラム:HiTrap rProtein A, 1ml
  • 結合バッファー:100 mM リン酸ナトリウム, 2.5 M NaCl, pH7.4
  • 溶出バッファー:100 mM クエン酸ナトリウム, pH4.5
  • 流速:1 ml/min
  • システム:ÄKTAFPLC
図3 HiTrap rProtein Aと抗体の結合に最適な塩濃度の自動スカウティング

上記の検討から至適化した条件により、アフィニティー精製を行いました。


図4

  • サンプル:モノクローナルIgG1を含むHiTrap rProtein A精製画分
  • カラム:HiLoad 16/60 Superdex 200 pg
  • バッファー:50 mM リン酸ナトリウム, 0.15 M NaCl, pH7.4
  • 溶出バッファー:100 mM リン酸ナトリウム, 100 mM クエン酸ナトリウム, pHグラジエント 7.4~3.0
  • 流速:1 ml/min
  • システム:ÄKTAFPLC
図4 ゲルろ過クロマトグラフィーによる最終精製

続いて、溶出液のpH条件検討を行いました。一般にProtein A カラムからの溶出にはpH 3.0 の酸性溶液を使用します。不安定な抗体の場合には失活する恐れがあるため、よりマイルドな溶出条件を検討します。pH 7.4 ~ 3.0 のpH グラジエント溶出を行った結果、IgG1 はpH 4.5 で溶出されることが分かりました。

SDS-PAGEによる純度確認

SDS-PAGEによる純度確認

ÄKTAFPLCを使用し、HiTrap rProtein A カラムから溶出されるIgG ピークをSuperloop内に回収して、ゲルろ過カラムに自動添加する全自動2 段階精製を行った結果、約1.2 mg のモノクローナルIgG1を精製できました。全自動で精製することにより精製時間の短縮、大量サンプル処理、モノクローナル抗体のルーチン精製が可能になりました。

図5

図5 SDS-PAGEによる純度確認

残存するTransferrin やBSA の除去

Protein A やProtein G から溶出したIgG 画分にTransferrin(76 kDa)やAlbumin(67 kDa)が含まれる場合は、分子量の違いを利用してゲルろ過クロマトグラフィーで分離することができます。ここでは、ヒトIgG、Albumin、Transferrin の混合物をHiLoad 16/60 Superdex 200pg で分離した例を示します。

図7

図7 ヒトIgG, Albumin, Transferrin の混合物の分離例

  • サンプル:ヒトIgG( 3.6 mg), BSA( 2 mg), transferrin(0.75 mg)を 1 ml に調製
  • HiLoad 16/60 Superdex 200pg
  • バッファーA: 20 mM リン酸ナトリウム, 0.15 M NaCl, pH 7.0
  • 流速: 0.5 ml/min(15 cm/h)
  • 検出:280 nm

サンプルを添加後、120 ml の溶出バッファーで溶出を行いました。

分子量の違いを利用して、ヒトIgG(モノマー)を分離することができました。

脱離したアフィニティーリガンドの除去

通常、Protein A やProtein G カラムからのアフィニティーリガンドの漏出はきわめて微量で、ほとんどの目的にはそのまま使用しても問題ありません。しかし、医薬品などの製造においてはアフィニティーリガンドの混入は深刻な問題であり、微量であっても最終精製画分から除去することが求められています。

アフィニティーリガンドが溶出画分に混入している場合、精製後の確認をSDS-PAGE で行うと、Protein G は30 kDa(実際の分子量は17 kDa ですがSDS-PAGE では構造が広がり移動度が小さくなります)、Protein A は42 kDa バンドとして現れます。さらに高純度が要求される場合には、ゲルろ過クロマトグラフィーやイオン交換クロマトグラフィーによってこれらのリガンドを効果的に除去することができます。

ゲルろ過クロマトグラフィーによるアフィニティーリガンドの除去

図8

図8 ゲルろ過クロマトグラフィーによるrProtein A の除去例

  • サンプル:4.8 ml のマウスIgG2a (14 mg), rProtein A(0.36 mg)
  • HiLoad 16/60 Superdex 200 prep grade(120 ml)
  • バッファー: 20 mM リン酸ナトリウム, 0.15 M NaCl, pH 7.0
  • 流速: 2.0 ml/min(60 cm/h)
  • 検出:280 nm

ゲルろ過クロマトグラフィーによるrProtein A の除去例です。

Protein A やProtein G は最大2 分子のIgG と結合します。このようにIgG が過剰の場合、混入するProtein A やProtein G とIgG の複合体は、IgG 単量体の2 倍以上の分子量となるため、ゲルろ過クロマトグラフィーで容易に分離することができます。

イオン交換クロマトグラフィーによるアフィニティーリガンドの除去

図9

図9 陽イオン交換クロマトグラフィーによるrProtein A の除去例

  • サンプル:マウスIgG2b(0.61 mg), rProtein A(1.8 mg)
  • HiTrap SP 1 ml
  • 結合バッファー: 20 mM クエン酸ナトリウム, pH 5.2
  • 溶出バッファー: 結合バッファー+ 1.0 M NaCl, pH 5.2
  • 溶出条件: 0 ~ 45 %B in 15 CV(カラム体積)
  • 流速:1.9 ml/min(296 cm/h)
  • 検出:280 nm

陽イオンクロマトグラフィーによるrProtein A の除去例です。

あらかじめ調製したIgG-rProtein A 複合体を、解離条件(rProtein A カラムからの溶出条件)でHiTrap SP カラムに添加しました。pH 5.2 では、rProtein A はカラムに結合しないため、効果的な分離が可能です。目的のIgG が陽イオン交換体に対してrProtein A よりも強く結合する場合に適用できます。

図10

図10 陰イオン交換クロマトグラフィーによるrProtein A の除去例

  • サンプル:マウスIgG2a (0.15 mg), rProtein A(0.009 mg)
  • HiTrap Q(1 ml)
  • 結合バッファー: 20 mM Tris-HCl, pH 8.5
  • 溶出バッファー: 結合バッファー+ 1 M NaCl, pH 8.5
  • 溶出条件: 0 ~ 25 %B in 20 CV(カラム体積)
  • 流速:1.9 ml/min(296 cm/h)
  • 検出:280 nm

陰イオン交換カラムでもProtein A を除去可能な場合があります。漏出したProtein A やIgGProtein A 複合体はIgG よりも僅かに強く陰イオン交換体担体に結合することを利用します。しかし、多くの場合、Protein A とIgG-Protein A 複合体のピークは明確に分離しないため、精製各フラクションのrProtein A をEIA などにより定量する必要があります。


より純度の高いモノクローナルIgG の精製法についてご紹介しました。ゲルろ過クロマトグラフィーやイオン交換クロマトグラフィーを駆使することで、不純物を除くことができます。ご紹介した例を参考に、高純度精製にチャレンジしてみてください。


お問合せフォーム(2営業日以内にご連絡いたします。お急ぎの場合は、お電話でご連絡ください。)
※よくあるお問合せとご回答(FAQ)はこちらでご覧いただけます。
お問合せ内容[必須] お名前[必須]  
大学/企業名[必須]
E-mail[必須]
電話[必須] - - (内線
ご入力いただく個人情報につきましては、弊社プライバシーポリシーに基づいて厳重に管理いたします。
下記の 「個人情報の取り扱い」を確認の上、同意いただける場合は「同意する」を選択してください。[必須]
個人情報の取り扱い
同意する