GEヘルスケア・ジャパン株式会社 ライフサイエンス統括本部 トップページに戻る

BLOG 実験を成功に導く小ネタと事例を紹介するブログ

細胞

2018-01-30 10:30:00

細胞内DDSが生きた細胞で可視化できる!

高解像度・超解像度顕微鏡、イメージングサイトメーターの担当として皆さまの研究を日々サポートさせていただいております、GEヘルスケア・ジャパンの波田野です。

最近、多くの製薬企業では、抗体医薬や核酸医薬など、これまでよりもより精度高くターゲットに薬剤を作用させる医薬品の開発が盛んになっています。当然ですが、作用機序もより複雑になり、より正確に候補化合物が細胞内でターゲットに運ばれて働いているか?を知ることが極めて重要になっています。このいわば細胞内DDSについて、特にスクリーニングをデザインする前に詳しく把握できていないと、望み通りの候補化合物が取れなかったり、スクリーニングデザインを一からやり直す必要が出てくることもあります。

細胞内での医薬品の局在や動きを観察する方法として、これまで共焦点顕微鏡が中心に用いられてきました。共焦点顕微鏡はご存じのとおり撮影時に拡散した光を取り除き、よりシャープで高コントラストな画像が得られる技術です。

ところが、この共焦点顕微鏡技術であっても、細胞内DDSではオルガネラの内外の解像度レベルで目的化合物があるかどうかを判断するには、解像度が足りません。蛍光を用いる共焦点顕微鏡では回折限界により波長より短い距離を見分けることができません。また生きたままの細胞を観察する場合も、共焦点顕微鏡では多くの光による細胞毒性が強く、早い生命現象をおいかけるには撮影スピードが追い付かないという問題点が出てきました。

オルガネラ内外レベルの解像度でしたら、電子顕微鏡で解決できるのはできるのですが、サンプルが固定した死んだ細胞に限られ、生きた細胞でのダイナミクスを追跡することができません。

最近注目されている超解像度顕微鏡は、蛍光を用いたまま解像度の限界を突破できました。
が・・・目的の蛍光ラベルした中―高分子と、別の蛍光でラベルしたオルガネラのような2色の蛍光物質をライブで撮ることは以下のような課題によりきわめて困難でした。

  1. 超解像度顕微鏡技術の多くは1つの画像を取得するのに多数の画像の取得が必要であり、1色目を取り終わるころには数分時間がたっており、もう1色の分子は別の場所に動いてしまっている。
  2. 超解像度顕微鏡技術によっては蛍光色素に制限がありライブで2色使うことは困難
  3. 1)にも関連して長時間の露光により褪色が激しい

これら課題に対して、弊社の超解像度顕微鏡DeltaVision OMX SRは、

  1. 複数のカメラでほぼ同時に多色撮影を可能にし
  2. これまで一般に用いられていたGFP, mCherryなどの蛍光タンパク質をライブに使え
  3. 3D-SIM構造化照明法により照射する光は広視野のため比較的細胞に優しい

などにより、課題を克服しています。

細胞内に取り込まれた物質のトラフィックを検出する方法として、ピノサイトーシス経路で取り込まれる蛍光ラベルしたデキストランをタイムラプスで観察する方法があります。細胞内に取り込まれた中―高分子の行く末を追跡する良いモデル系になります。

この蛍光デキストランを前回のブログでご紹介したEGFP融合FYVEを安定的に発現させたU-2 OS細胞に取り込ませることによって、デキストランのエンドソームコンパートメントへの輸送が観察できます。

繰り返しになりますが、FYVEはPI3Kinaseによってリン酸化されるドメインの1つで、リン酸化されると初期エンドソームに凝集します。その性質を利用することでPI3Kinase活性すなわち初期エンドソームコンパートメントの指標となるのです。

以下の画像は蛍光デキストランが初期エンドソームに取り込まれていく様子です。

以下の画像は蛍光デキストランが初期エンドソームから出ていく様子です。

これらは動画もございますので、ぜひイメージギャラリーでご覧ください。

今まで困難であった超解像度による細胞内トラフィックのライブ撮影が実現されたことで、より実際に起きていることと近い現象が観察できるようになりました。これにより、創薬シードのより精度の高い作用機序の特定、スクリーニング系のデザインが可能になり、結果的に創薬の効率化にもつながることが期待されます。

DeltaVision OMX SRを用いた、初期エンドソーム輸送の3D超解像ライブセルイメージング

上記実験の詳細については、こちらのアプリケーションノートをご覧ください。

詳しくはこちらから

突然ですが顕微鏡つながりで、ここでお知らせです。
オートファジー、がん、神経疾患など幅広い基礎研究分野から創薬までご好評のDeltaVision Eliteに新しいモデルDeltaVision Ultraが登場しました。標準モデルから感度が高くや撮影スピードが大変速いsCMOSカメラを採用し、システム全体も刷新しています。

特に撮影スピードは1秒間に400枚の撮影が可能になりDeltaVision Eliteのスタンダードモデル(冷却CCDカメラ搭載)にくらべ約10倍以上の速さでの撮影が可能です。挙動の速いミトコンドリアの伸縮や移動などの解析がより高い時間分解能で可能になります。

ちなみに、今回のライブイメージングは、私自身が弊社新宿ラボで実施したものです。皆さま自身のサンプルでどのような画像が得られるか、弊社でのお試し撮影(無料)をしてみませんか。ぜひご遠慮なくお声掛けください。

また、お試しサンプル撮影以外にも、【超解像度&高解像度】細胞の世界については以下よりお問合せください。

不定期ではございますが、役に立つ情報をお伝えさせていただきます。今後ともよろしくおねがいいたします!

話は変わりますが、実は最近、弊社公式アカウントとしてFacebook、Twitter、Instagramを始めました。日々お役に立つような小ネタや、Tea timeに見ていただけるような投稿をひっそりとつぶやいております。
ぜひこちらから公式アカウントのフォロー、いいね!をしていただき、ほっと一息のネタにしてください♪

≪ BLOGインデックスへ戻る