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細胞

2017-07-04 11:30:00

100 nmのものを生きたまま観察~予測した現象がみえる?

こんにちは、GEヘルスケア・ジャパンの高田と申します。
高解像度・超解像度顕微鏡、イメージングサイトメーターの担当として皆さまの研究を日々サポートさせていただいております。

私たちは、イメージングサイトメーターIN Cell Analyzer 2500HS/6500HSなどのデモンストレーションを行う際、サンプルとしてEGFP融合FYVEを安定的に発現させたU2OS細胞を使用することがあります。
FYVEはPI3Kinaseによってリン酸化されるドメインの1つで、リン酸化されるとエンドソームに凝集します。
その性質を利用することでPI3Kinase活性のインジケーターとなるのです。

デモの際には、「リン酸化阻害剤Wortmannin処理によって、粒々の数が減少します」などと紹介をしてきましたが、当社ラボにDeltaVision OMX SRが届いたその日から、今まで粒々だと思っていたものが粒々ではないことに気づかされました。FYVEはPI3Kinaseによってエンドソームの膜表面に集まり、それは確かな袋様に観察できたのです。

従来、このような細胞内オルガネラの詳細な構造は電子顕微鏡で観察するものと考えられていました。電子顕微鏡はナノ単位の世界まで観察できる一方で、以下のような課題が残されています。

  • 多重染色による、オルガネラへのタンパク質局在などが観察できない
  • Z方向を含めた3D観察が困難
  • ライブセルイメージングができない

今まで粒々の増減をカウントすることはしていましたが、粒々どうしの関係性を見てみようとは考えていませんでした。エンドソームはエンドソーム、またはその他の小胞との間で融合や分離を起こしながらはたらきます。
EEA1(Early Endosome Antigen 1)の機能として、エンドソームの膜と小胞の膜をつなげて融合を促すモデルが提唱されていました。しかし、これまでの共焦点顕微鏡の解像度ではエンドソームに局在することはわかっても、袋状のエンドソームのどこに局在するかまでは不明でした。そこで、EEA1の局在を弊社超解像度顕微鏡で観察すると、エンドソーム小胞どうしがつながっているまさに接点で局在することが初めてわかりました。小さなオルガネラへのタンパク質局在を正確に評価することで、そのはたらきをより具体的に推測することができます。

私たちが用いるデモサンプルはEGFP融合タンパク質ドメインが導入された細胞ですので、もちろんライブでの観察が可能です。従来の光学顕微鏡をベースにしたシステムでも粒々が動き回っている様子を観察することができました。
しかし、粒々どうしがぶつかったように見えたとき、交差しているだけなのか、融合しているのか、それを判断することは困難でした。
そこで、DeltaVision OMX SRを用いて、エンドソームの様子をライブで観察してみることにしました。

光学限界を超えるほどの解像度で細胞内の小さなエンドソームをライブイメージングするためには、いくつか課題があります。

  • 観察対象が直径数百ナノメートルの小さな構造物であること
  • 細胞の中を動き回っていること
  • 細胞には厚みがあり、あらゆる方向に動き回ること

超解像度顕微鏡にはいくつかの技術があり、近年では、DeltaVision OMX SRも含め、Z方向にも超解像できるという技術が出てきています。
しかし、生細胞の撮影では時間をかけるほど画像のブレにつながるため、正確な構造をとらえるためには十分な解像度に加え、撮影スピードが重要となります。細胞膜表面だけを観察するのであれば一平面の撮影で済みますが、エンドソームは細胞中を動き回るため、さらにZ方向への画像情報取得も必要となるのです。
DeltaVision OMX SRの強みがここにあります。

1マイクロメートルの厚さを撮影する場合

0.125マークロメートル間隔で9セクション × 1セクション辺り15パターンの情報取得 = 最短で0.8秒

こんなスピードで撮影できる超解像度顕微鏡だからこそ、細胞内のエンドソームの動きを捉えることができました。融合の様子もご覧いただけます。

ミトコンドリアと小胞体の様子もこの通り。分離したり融合したりする様子がご覧いただけます。

今まで困難であった超解像度による細胞内のライブ撮影が実現されたことで、より実際に起きていることと近い現象が観察できるようにありました。これにより、メンブレントラフィック・オートファジー研究、エキソソームによる細胞間コミュニケーションといった最先端の研究がますます加速し、高分子医薬品などの細胞内デリバリーシステム、ガンの早期検出、高感度な診断技術といった独自性の高い応用研究へとつながっていくことだろうとワクワクします。

ちなみに、エンドソームのライブイメージングは、私自身が弊社ライフサイエンス新宿本部のラボで実施したものです。皆さま自身のサンプルでどのような画像が得られるか、弊社でのお試し撮影(無料)をしてみませんか?是非お気軽にお声掛けください。

また、お試しサンプル撮影以外にも、【超解像度&高解像度】細胞の世界については以下よりお問合せください。

不定期ではございますが、役に立つ情報をお伝えさせていただきます。今後ともよろしくおねがいいたします!

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