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Location:ホーム実験手法別製品・技術情報タンパク質サンプル調製・前処理

第5章
サンプルスループットの増加/スクリーニングアプリケーション(3)

個々の製品とプロトコール(3)

発現スクリーニング

His MultiTrap HPおよび自動化システムを用いた可溶性発現量と精製効率のスクリーニング

MAPKAPキナーゼ2(MK2、Mr 38 000)は炎症性サイトカインによって活性化される経路の重要な酵素であり、そのため癌治療薬の標的として注目されています。ヒスチジンタグを持つ24種類の切断型MK2を昆虫細胞系で一過性発現させ(翻訳後修飾を得るため)、可溶性発現量と精製効率に関するスクリーニングを行いました。His MultiTrap HPとTecan液体処理ワークステーションを使用し、真空ポンプを用いたプロトコールに従って24種類すべてを平行して精製しました。溶出した画分をSDS-PAGE(図5.11)で分析した結果、発現/精製効率に大きな差が認められました。詳細については、参考文献5を参照してください。

図5.11
図5.11 一過性発現の昆虫細胞系で72時間発現させたヒスチジンタグ切断型MK2の溶出液のSDS-PAGE分析。レーン06~31:ヒスチジンタグ切断型キナーゼ。E:高感度緑色蛍光タンパク質(タグなしトランスフェクション陽性コントロール)。C:トランスフェクションなしHi5細胞。B1~B4:それぞれ0.5、0.75、1.0、1.5 μlのBSA。M:分子量マーカー。

謝辞:Bayer Schering Pharma AG(ドイツ、ベルリン)のMario Mann氏、Guido Malawski博士およびArndt Schmitz博士のご厚意に感謝します。

条件スクリーニング

His MultiTrap FFと自動化システムを用いたバッファー条件のスクリーニング

発現した目的タンパク質の最適な精製条件を見出すために、1枚のMultiTrapフィルタープレートをTecan Freedom EVO自動化プラットフォーム(Tecan社)および遠心機を使用した平行自動化ワンステップ精製法により、96通りのバッファー条件について同時スクリーニングを行いました。ドーパミンニューロンの発生においてきわめて重要な役割を果たす転写因子であるNurr1リガンド結合ドメインのヒスチジンタグ融合体(His-Nurr1-LBD)(Mr 26 000)を含む大腸菌溶解液を清澄化し、MultiTrap FFにアプライしました。pH範囲6.0~8.5の8通りのバッファー溶液についてスクリーニングを行いました(表5.3)。8通りのバッファーのそれぞれについて、NaCl、グルセロールおよびβ-メルカプトエタノールの含量が異なる12通りのバッファー溶液を作製し、これをスクリーニングに使用しました(表5.4)。結合バッファーのイミダゾール含量は50 mM、溶出バッファーのイミダゾール含量は500 mMとしました。SDS-PAGEを使用して溶解液からの目的タンパク質の回収率を求めました(図5.12)。精製タンパク質がもっとも多く回収されたのは、pH 8.5のバッファー(25 mM Tris、100 mM NaCl、10%グリセロール、pH 8.5)を使用した場合でした。

表5.3 試験したバッファーとpH

25 mM MES, pH 6.0 25 mM HEPES, pH 7.5
25 mM PIPES, pH 6.5 25 mM HEPES, pH 8.0
25 mM sodium phosphate, pH 7.0 25 mM Tris, pH 8.0
25 mM sodium phosphate, pH 7.5 25 mM Tris, pH 8.5

表5.4 バッファー中の添加物濃度

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
NaCl (mM) 100 200 300 400 500 750 100 200 100 200 100 200
Glycerol (%)             5 5 10 10 10 10
β-mercaptoethanol (%)                     0.05 0.05

図5.12
図5.12 溶出したHis-Nurr1-LBDをSDS-PAGE後CBB染色して検出。8通りのバッファー(表5.3)のそれぞれについて、NaCl、グリセロールおよびβ-メルカプトエタノールの濃度が異なる12通りの組成(表5.4)の分析を行いました。矢印はHis-Nurr1-LBDの位置を示します。

謝辞:Johnson and Johnson(米国ペンシルバニア州エクストン)のRuth Steel氏とB. L. Grasberger博士のご厚意に感謝します。

 

>>製品とプロトコール(4)

タンパク質サンプル調製ハンドブック目次5章 References略号と用語、記号解説


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