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Location:ホーム実験手法別製品・技術情報タンパク質サンプル調製・前処理

第2章
サンプルの採取、安定化およびタンパク質抽出(3)

タンパク質の安定化(続き)

酸化からの保護

自然に生じるオキシダーゼはin vivoで重要な機能を果たしています。例えばコラーゲンの-SH基を酸化してジスルフィド結合を生成させる、プロリン、リジンおよびアスパラギン残基に水酸基添加をするなどです。多くの場合、酸化はフリーラジカルによって直接的または間接的に媒介され、また種々の金属によって触媒されることもあります。鉄(II)および銅(II)塩は酸素と水の存在下でゆっくりと酸化されて活性酸素を形成します。この活性酸素はサンプル中のタンパク質のどのアミノ酸側鎖でも攻撃しますが、金属で触媒される酸化の選択的標的となるアミノ酸残基がいくつかあります(ヒスチジン、メチオニン、システインおよびトリプトファン)。参考文献T8を参照してください。

電気泳動中、特に脱気していないアクリルアミド溶液を使用した場合、泳動中に活性酸素が生成し(参考文献9)、目的のタンパク質が酸化されます。その結果、酵素消化してMS分析を行った後にペプチドの質量シフト(+16 Da)として検出されることがあります。陰極バッファーにチオグリコール酸などの活性酸素補足剤を添加するとこのような人為的エラーによる酸化反応を最小限に抑えられます。

システイン残基が酸化されると混合ジスルフィド結合が生じ、分子内部ジスルフィド結合または外部ジスルフィド結合によりタンパク質が凝集する可能性があります。還元剤(例:1 mMのDTT)をバッファーに添加すると混合ジスルフィド結合の生成を防止できます。多くの場合、金属イオンと結合する金属イオンキレート剤(0.5 mMのEDTAなど)とともに使用します。 また、ジスルフィド結合は過剰の還元剤でも分解できます。この時に使える還元剤を表2.4に示しました。

表2.4 還元剤

還元剤 至適濃度 ストック溶液 備考
1,4 dithiothreitol (DTT) (Cleland's reagent) or alternatively 1,4 dithioerythritol (DTE) < 100 mM 超純水で1 Mにします。-20°C保存 (1年間保存可能) pHが7より高い場合にのみ効率的。酸化を受けやすく、酸化型になると280 nmにおける吸光度が高くなります。
β-mercaptoethanol(BME) > 0.2 M 超純水で1 M溶液にします。4°C 暗所で保存(1年間保存可能) 酸化を受けやすく、揮発性で、pHが5より高い水溶液中では不安定であり、pHが高いほど安定性が低下します。金属イオンの存在により影響を受けます。EDTAを添加することで安定化します。
TCEP (purchase as TCEP-HCl) 2~10 mM 超純水で0.5 M溶液にし、適したpHに調整します。-20°Cに保存。TCEP溶液は酸性で、リン酸バッファー中にて不安定です。 酸化を受けにくい還元剤です。pHが8より低い場合にはDTTよりも効率が高くなります。固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)において、金属イオンに影響を及ぼしません。水に易溶性で最大濃度1.1 Mであり、水溶液中で安定、酸性および塩基性溶液中で安定です。無臭、チオール非含有、pH範囲1.5~9。TCEPはDTTを還元します。

遊離チオールはIAA、ビニルピリジンまたはアクリルアミドでアルキル化するか、後続ステップの各バッファーに1 mM DTTを添加するなどして、ワークフロー全体を通して少量の還元剤を使用すると再酸化を防げます。

立体構造の不安定化からの保護

タンパク質の三次および四次構造は、その機能、フォールディングおよび安定性に欠かせないものです。このような構造に影響する因子には、固有のアミノ酸配列、翻訳後修飾および補因子の結合のほか、周囲の環境の諸要因があげられます。サンプル調製中に使用する操作や添加剤によってはタンパク質の変性または凝集が生じることがあります。不安定化をもたらす条件の例を表2.2に示しました。

pH、温度およびイオン強度の変化など、サンプル調製中の不安定化要因を制御することをおすすめします。
せん断力および圧力など、より制御が困難な要因は、過度の混和や振とうを避けるなど、サンプルの穏和な処理(特に非変性条件下での処理)を行うことでこのような要因を最小限に抑えられます。
容器表面へのタンパク質の吸着も変性を引き起こすことがありますが (参考文献10)、これはシリコン処理など表面処理を行う、タンパク質よりも表面活性が高い界面活性剤などの添加剤を加えて制御できます。

>>タンパク質の可溶化 (1)

タンパク質サンプル調製ハンドブック目次2章 References 略号と用語、記号解説

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