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Location:ホーム実験手法別製品・技術情報サンプル調製:タンパク質濃縮・免疫沈降

知っているつもり? みんなの疑問を解決します。
Q&A特別版 No. 01

タンパク質精製関連で年間5000件を越すお問合せをいただきますが、その中からよくあるお問合せに焦点をあてて、詳しい解説とともに皆さまへご紹介します。

今回のテーマ:「どの担体を使って免疫沈降を行うの?」

免疫沈降って?

組織や細胞などから抽出したクルードなサンプルの中に目的とするタンパク質があるかどうかを定性的に確認する手段として免疫沈降があります。目的物(抗原)と特異抗体が結合した複合体をProtein A SepharoseやProtein G Sepharoseへ結合させ、遠心により回収します(図1)。

図1、免疫沈降の流れ
反応中
抗原と抗体の結合
→→→ 反応後
複合体の沈降
凡例
抗体のアイコン特異抗体 担体アイコンProtein A/G Sepharose
タンパク質アイコン1目的タンパク質 タンパク質アイコン2夾雑タンパク質
  1. 細胞の溶解
    • 溶解バッファーにより細胞を溶解
  2. 抗原と抗体の結合
    • サンプルに目的タンパク質を認識する抗体を加え、抗原抗体反応
  3. 抗原抗体複合体の沈降
    • Protein A/G Sepharoseを加え混和
    • 遠心分離した後、沈殿を回収
    • 沈殿をバッファーで洗浄
  4. 抗原抗体複合体の解離
    • SDS-PAGE用サンプルバッファー中でボイル
    • 遠心分離し上清を回収
  5. 電気泳動&検出
    • SDS-PAGE後にウェスタンブロッティング

この時にポイントとなるのが用いる担体(Protein A SepharoseまたはProtein G Sepharose)の選択です。基本的にはProtein A SepharoseまたはProtein G Sepharoseのどちらと効率的に結合できるかが判断基準です。そのため、抗体の特性(動物種、サブクラス)を把握する必要があります。抗体の特性が分かれば、抗体とProtein AまたはProtein Gとの間で親和性があるかどうかが確認できます。

一般的な結合性について表1に示します。

表1、種の違いによるIgGのProtein A SepharoseとProtein G Sepharoseへの結合性
動物種サブクラス結合性
Protein AProtein G
ヒトIgG1
IgG2
IgG3
IgG4
マウスIgG1
IgG2a
IgG2b
IgG3
ラットIgG1
IgG2a×
IgG2b×
IgG2c
ウサギIgG
ウシIgG1 ×
IgG2
ウマIgGab
IgGc N.D.
ヤギIgG1 ×
IgG2
モルモットIgG
イヌIgG
ネコIgG
ハムスターIgGN.D.
ヒツジIgG1 ×
IgG2
ブタIgG
  • ◎:通常の条件(pH 7)で強く結合する
  • ○:通常の条件(pH 7)で弱く結合する
  • △:条件を変えれば結合性が増す
  • ×:結合が弱い、または結合しない

では、どちらを選ぶ?

一目瞭然なのがマウスIgG1です。マウスIgG1はProtein A Sepharoseとの親和性が低いのに対しProtein G Sepharoseとの親和性が高いので、この場合はProtein G Sepharoseを選択します。では、ウサギIgGのように両者との親和性がほとんど変わらない場合はどちらを選択すればよいでしょうか。実は決まった答えはありません。実際に両方を試してより確実に複合体(抗体+抗原)を回収し、夾雑物(バックグラウンド)の少ない担体を選ぶ必要があります。

先にも述べたように、クルードなサンプルを取り扱っているため、どうしても夾雑物の影響は避けられません。また定量的な手法でもないので、「より多く結合できる」よりは「より確実に結合できる」ことが重要になります。

「両方試すなんて、試薬を揃えるのが面倒」と思ったことはありませんか?その時は条件検討にぴったりの「Immunoprecipitation Starter Pack」がお薦めです。nProtein A Sepharose 4 Fast FlowProtein G Sepharose 4 Fast Flowがそれぞれ2 mlずつ分注されたバイアルがセットになっています。それぞれ80サンプル分(25 µl/サンプルとした場合)に相当します。

担体が決まったら?

80サンプル分の実験ができるとはいえ、いつかは担体が無くなり新しい担体を用意しなければいけません。両方の担体を平行して使用するのであれば再度Immunoprecipitation Starter Packを用意すればよいですが、一方に決まっている場合は単品(nProtein A Sepharose 4 Fast FlowまたはProtein G Sepharose 4 Fast Flow)を用意した方が、無駄がありません。

豆アイコン豆知識

豆知識-1

Protein A Sepharose Fast Flowにはリガンド(Protein A)の種類と結合様式の違いにより3種類の担体があります。

表2、Protein A Sepharoseの違い
  リガンド配列 結合点数 結合容量(/mlゲル)
rProtein A Sepharose Fast Flow 組換え* 1点 50 mgヒトIgG
rmp Protein A Sepharose Fast Flow 組換え* 多点 22 mgヒトIgG
nProtein A Sepharose 4 Fast Flow 天然 多点 30 mgヒトIgG

*アルブミン結合領域を遺伝子的に除去

免疫沈降ではサンプル回収のステップでボイルが入ります。この時目的物(抗原)や抗体は使用した担体から離れますが、一部のリガンドも脱離します。この比率はリガンドとの架橋数が関係し、結合点数の少ないrProtein Sepharoseが最も脱離しやすくなります。抗体を精製する上でIgG結合量が最も多く、アルブミンが結合しにくい点が優れている担体ですが、免疫沈降はちょっぴり苦手です。

豆知識-2

バイアルから担体の分注を繰り返すと、均一なスラリーを調製したつもりでも保存液が先に無くなる、またはスラリーが濃くなることがあります。その時は保存液(20%エタノール)をバイアルに追加すれば大丈夫です。スラリー濃度が気になる場合には小容量のメスシリンダーや目盛付試験管に移して濃度調製をします。このようなことはnProtein A Sepharose 4 Fast FlowProtein G Sepharose 4 Fast Flowに限らず起こり得ることですので、その際は製品マニュアルに記載されている保存液を調製し、ボトルへ追加します。なお、多くの製品は保存液として20%エタノールが用いられています。

製品マニュアル

Immunoprecipitation Starter Pack


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