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HyperPAGEアプリケーション 1
チロシンリン酸化タンパク質を対象とした免疫沈降サンプルの解析

ここでは、EGF刺激によるリン酸化カスケード亢進に関連して起こるタンパク質の動態変化を観察する一つの手法として、HyperPAGEを用いた例をご紹介します。EGF(Epidermal Growth Factor)処理したタンパク質サンプルを用い、チロシンリン酸化タンパク質のパターンを比較解析しました。


HyperPAGEによるチロシンリン酸化タンパク質解析の流れ

  1. 免疫沈降によるチロシンリン酸化タンパク質の回収
  2. CyDyeによる標識
  3. HyperPAGE泳動結果
  4. ディファレンシャル解析結果

1. 免疫沈降によるチロシンリン酸化タンパク質の回収

免疫沈降の模式図
図1 Protein G HP SpinTrapによるチロシンリン酸化タンパク質の回収

Protein Gイラスト:Protein G, 4G10抗体イラスト:4G10抗体, 架橋剤イラスト:架橋剤(DMP), ターゲットイラスト:チロシンリン酸化タンパク質+結合タンパク質, 不純物イラスト:不純物, 溶出物質イラスト:Phenylphosphate

  • 培養HeLa細胞に500 ng/mlの濃度になるようEGF(in PBS, SIGMA社)を処理しました。コントロールとしてPBS処理したサンプルを用意し、各処理後5 minの時点でセルスクレーパーにて細胞を回収しました。
  • それぞれタンパク質を抽出後、抗チロシンリン酸化タンパク質抗体(Anti-Phosphotyrosine, Mouse-Mono(4G10), upstate社)を用い、Protein G HP SpinTrapのクロスリンクプロトコールに従って免疫沈降を行いました。(図1参照)
  1. 4G10抗体をProtein G HP SpinTrapに結合
  2. 架橋剤(DMP:Dimethyl pimelimidate dihydrochloride, Pierce社)により抗体とProtein Gを架橋
  3. 細胞から抽出したタンパク質をアプライ
  4. Washバッファーによる洗浄
  5. リン酸化アミノ酸(Phenylphosphate, CALBIOCHEM社)により競合溶出

ポイント: 解析ターゲットとするタンパク質を絞る

SDS-PAGEの分離能ではサンプル中に数百種以上のタンパク質が存在すると十分な分離ができず、満足な解析結果を得ることは困難です。免疫沈降では解析ターゲットタンパク質を絞り込むことに加えて微発現量のタンパク質を濃縮することができるため、解析を効率的に行うことができます。

2. CyDyeによる蛍光標識

EGF処理した細胞から得られたチロシンリン酸化タンパク質(以下、EGF)とPBS処理した細胞から得られたチロシンリン酸化タンパク質(以下、コントロール)をHyperPAGE用CyDyeで標識しました。各サンプルはCy3/Cy5の双方で標識し、SDS-PAGEに用いました。

CyDye標識操作の流れ

  1. タンパク質定量を行う
  2. 標識するタンパク質量に応じて必要なCyDye溶液を添加しボルテックスで十分に混和する
  3. 氷上に30 min、暗所に静置する
  4. L-リジンを加えて標識反応を停止させる。氷上で15 min、暗所に静置する 
  5. 標識後の液量と等量の2×SDS-PAGEサンプルバッファーを加える

※標識の詳細プロトコールは製品添付マニュアルをご参照ください。

3. HyperPAGE泳動結果

各レーンには表1に示すサンプルをアプライし、SE 600 Ruby(18×16 cm)を用いてHyperPAGE(SDS-PAGE)を行いました。HyperPAGEの泳動結果が図2です。Cy3(緑)およびCy5(赤)で検出されたバンドをコントラスト調整して表示しています。緑または赤に偏っているバンドはどちらかのサンプルに多く含まれていることを示しており、ほぼ同量であるバンドは黄色に近い色で表示されています。このように、サンプル間で量の異なるバンドは容易に目安がつきます。

HyperPAGE泳動パターンのカラー表示 白枠拡大図
図2 チロシンリン酸化タンパク質のHyperPAGEパターン

各レーンに泳動したサンプルは左表を参照。
Cy3検出バンドを緑で、Cy5検出バンドを赤で表示しています
・図中の白枠部分の拡大図も一緒に掲載しています
*レーン6はコントラスト調整後の差込画像です

表1 各レーンに泳動したサンプル一覧
レーン 泳動サンプル 備考
Cy3標識 Cy5標識
1 ECL Plex Fluorescent Rainbow Markers 蛍光分子量マーカー
2 ブランク
3 コントロール* コントロール* 標識効率の差を検証
4 EGF* EGF*
5 コントロール* EGF* 標識色素を入れ替えた際の結果の再現性を検証
6 EGF* コントロール*
* 各1.5 μgをアプライしました

Cy3/Cy5の標識効率についての検証

標識色素が異なる同じサンプルを同一のレーンにアプライした例がレーン3・レーン4です(図2、表1参照)。この実験より、Cy3/Cy5間の標識効率について検証しました。

図3に標識色素の異なるEGFサンプルを泳動した「レーン4」のイメージ解析結果を示します。図中のグラフより、Cy3(緑)/Cy5(赤)シグナルのインテンシティカーブがほぼ重なり合っていることがわかります。

このことから、最適化された標識プロトコールを用いれば、異なる蛍光色素を用いてもほぼ同様にタンパク質を標識できることが示されました。

Cy3/Cy5標識を入れ替えた際の結果の再現性についての検証

コントロールとEGFをCy3/Cy5の双方で標識したサンプルを用意し、レーン5・レーン6にそれぞれ標識が互いになるよう泳動しました(図2、表1参照)。サンプル・蛍光色素の組合せから成る4つのイメージを解析ソフトウェアImageQuant TLにより解析し、標識を入れ替えた際の結果の再現性について検証を行いました。

図4にレーン5、レーン6のイメージ解析結果を示します。二つの解析結果から示されるとおり、Cy3/Cy5標識を入れ替えてもインテンシティ*1カーブのパターンはほとんど変化しませんでした。また、検出したバンドのうち84%(62バンド/74バンド)は両レーンにおいて算出した「Lane%ボリューム*2」の誤差が10%以下でした(データ未掲載)。

このように、Cy3/Cy5の標識を入れ替えた場合にも再現性の高い比較結果を得ることができました。このHyperPAGEという手法が、有意な発現量変化を示すタンパク質バンドの検出にとても有用な技術であることが示されました。

*1 インテンシティ:ソフトウェアで検出したバンド枠内のインテンシティ値(バックグラウンド補正済み)
*2 Lane%ボリューム:レーン間誤差を補正した後の各バンドインテンシティ値を“ボリューム”としたとき、各レーンにおける総ボリューム値に対する各バンドボリューム値のパーセンテージとして算出

レーン4の解析結果 Cy3/Cy5のカーブが重なっています レーン5の解析結果 レーン6の解析結果
図3 Cy3/Cy5標識した同サンプルの比較解析結果

泳動サンプル:EGF
インテンシティカーブグラフ:Cy3(緑線), Cy5(赤線)
下図:Cy3泳動パターン(上,/緑枠) Cy5泳動パターン(下/赤枠)
※上のグラフとバンド位置は対応しています
ImageQuant TLにより解析

図4 コントロール/EGFでの比較解析結果

【レーン5(左図)】
・インテンシティカーブグラフ:コントロール(Cy3/緑線)、EGF(Cy5/赤線)
・泳動パターン:コントロール(上図/緑枠)、EGF(下図/赤枠)

【レーン6(右図)】
・インテンシティカーブグラフ:EGF(Cy3/緑線)、コントロール(Cy5/赤線)
・泳動パターン:EGF(上図/緑枠)、コントロール(下図/赤枠)

※上のグラフとバンド位置は対応しています
ImageQuant TLにより解析

4. ディファレンシャル解析結果

レーン5・レーン6の泳動パターンより(図2参照)EGFとコントロールのディファレンシャル解析を行いました。EGFとコントロールのバンドボリューム比を示したものが図5です。

バンドボリューム比グラフ
図5 各バンドのボリューム比(EGF/コントロール)

Lane%ボリュームで評価
縦軸:バンドボリューム比
    正の値→EGFで発現量が多い、負の値→コントロールで発現量が多い
横軸:バンドNo.(1~37)
ImageQuant TLにより解析


まとめ

蛍光標識法は2D DIGE法で培った実績と経験をもとに最適化されており、高いパフォーマンスでのディファレンシャル解析が可能です。HyperPAGEにより得られるディファレンシャル解析結果は、蛍光色素ごとの擬似カラー表示によって視覚的にわかりやすいだけでなく、数値的にも高い精度をもちます。SDS-PAGEという基本的な研究技術にシンプルな蛍光標識を組み合せるだけで、今までのSDS-PAGEでは見逃していたかもしれない各バンドのボリュームや分子量の細かな違いを検出することができる非常に有用なテクニックとなりました。


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