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ECL Plex 蛍光ウェスタンブロッティングを使った多重検出アプリケーション

ECL Plexは蛍光色素で標識した二次抗体を用いて、ウェスタンブロッティング検出を行うためのキットです。蛍光イメージャーが必要ではあるものの、操作の簡便さ、蛍光を使うことでしかできないアプリケーションの数々など、研究の幅が広がります。今回は、ECL Plexの基本的な特徴から目的タンパク質と発現量コントロールをとるためのタンパク質の同時検出についてご紹介いたします。


ECL Plexとは?

ECL Plex検出機構イメージ

ECL Plexとは、CyDye蛍光色素で標識された二次抗体を用いた、ウェスタンブロッティング検出のためのキットです。抗ウサギIgG抗体、および抗マウスIgG抗体について、3種のCyDyeで標識されたECL Plexが販売されています。各色素の励起/検出波長(nm)は独立していること、検出プロトコールが至適化されていることから、検出時のクロストーク(重複検出)の心配はありません。お持ちの蛍光イメージャーやアプリケーションに合わせて、ECL Plex試薬を選択しご利用ください。表1にECL Plexの特性、表2に各蛍光イメージャーとの検出適合性を示しましたので、ご参考になさってください。

表1 標識CyDyeごとに表したECL Plexの特性
ECL Plex
標識蛍光色素
λ max(nm) 対応一次抗体 検出感度
※標準モデルタンパク質検出時
励起 検出
Cy2 489 506 抗マウスIgG(goat-α-mouse IgG),
抗ウサギIgG(goat-α-rabbit IgG)
1.2 pg
= ECL Advance(~1 pg)とECL Plus(~5 pg)の中間程度
= ECL(~10 pg)の約10倍
Cy3 550 570
Cy5 649 670

表2 イメージャーおよびメンブレンに対するECL Plex検出の適合性
検出イメージャー メンブレン ECL Plex CyDye標識抗体
Cy2*1 Cy3*1 Cy5*1
Typhoon 9400/9410 Hybond-LFP *2 ++++ ++++ ++++
Hybond-ECL +++ +++ +++
Ettan DIGE Imager Hybond-LFP ++++ ++++ ++++
Hybond-ECL +++ +++ +++
Storm 860 Hybond-LFP +++ NA +++
Hybond-ECL + NA ++
Molecular Imager FX Systems(Bio-Rad) Hybond-LFP NT ++++ ++++
Hybond-ECL NT ++ ++
Fuji FLA 3000(富士フイルム) Hybond-LFP NT ++++ ++++
Hybond-ECL NT ++ ++
Kodak Image Station 2000MM(コスモ・バイオ) Hybond-LFP +++ +++ +++
Hybond-ECL ++ ++ ++
Odyssey(Li-Cor) Hybond-LFP NA NA +++
Hybond-ECL NA NA ++

*1 抗マウスIgG(goat-α-mouse IgG)、抗ウサギIgG(goat-α-rabbit IgG)の双方に対応しています
*2 Hybond LFP(Low Fluorecense PVDF membrane:低蛍光PVDFメンブレン)は、蛍光検出に対応した低バックグラウンドのPVDF膜です。


ECL Plexによる蛍光検出と化学発光検出の比較

表3 蛍光検出と化学発光検出の特徴
検出方法 長所 短所
ECL Plex
(蛍光検出)

・容易に多重検出が可能
・定量性が高い
 (最大ダイナミックレンジ:3.6)
・操作が簡単
・検出感度が高い

・蛍光イメージャーが高価
・一次/二次抗体を多く必要とする
・条件によってはバックグラウンドが高い

化学発光検出

・検出に特別な機器は不要
・ECL Plexに比べ、抗体の必要量が少なく済む
・フィルム検出による検出感度は最も高い

・定量性が低い
・多重検出には煩雑な操作と、
 サンプルロスのリスクあり
・操作が煩雑

ウェスタンブロッティングに用いられている検出方法として、発色法、化学発光検出、ラジオアイソトープ(RI)、そして蛍光検出を挙げることができます。ここでは、non-RIの手法の中で最も多くの研究者が用いている化学発光検出と、ECL Plexによる蛍光検出の特徴について比較しました(表3)。

ECL Plex検出の一番の特長は、容易に多重検出ができることです。コントロールシグナルと比較して目的タンパク質のシグナルを定量的に得たい場合や、電気泳動では分離が難しいある種の翻訳後修飾(例:リン酸化、モノユビキチン化、O-GlcNAc化)の有無について、ウェスタンブロッティングで判断したい場合など、いろいろなアプリケーションに用いることができます(詳細は後述)。他にも、定量性が高いことや全体として操作が簡便になることが、ECL Plexの長所です。

デメリットの1つとしては、化学発光検出に対して抗体を多く必要とします。化学発光では増幅反応によってシグナルを増大できることが、ECL Plexによる蛍光検出と異なる点です。ECL Plexを用いてECL Plusの化学発光検出と同等以上の検出感度を求める場合、一次抗体で約13倍、二次抗体では約40倍の量が必要です。しかし、前に述べた多重検出アプリケーションや、ウェスタンブロッティングによる定量解析においては、化学発光では不可能なパフォーマンスを示します。このような解析を実施する研究者の方々には、ECL Plexは大変強力なツールとしてご利用いただけます。


ECL Plexによる多重検出のメリット 「タンパク質ロスなく、複数抗体によるシグナルをしっかり分離」

ECL Plexでは基質反応やサンプルロスのあるストリッピング処理(リプロービング)が必要ありません
図1 ECL従来品とECL Plexでの多重検出フローの比較
※ECL従来品 = 化学発光検出を示しています

図1にECL従来品による化学発光法とECL Plexによる蛍光検出を用いたときの、多重検出フローを並べました。最も大きな違いは「ECL Plex(蛍光検出)では、リプロービング処理が必要ない」ということです。

化学発光検出による多重検出では、それぞれの抗体反応シグナルが分離して検出されません。これでは、一度に複数の抗体処理を行っても、どのシグナルがどの抗体反応を示しているかを確認することができません。したがって、次の抗体反応を特異的に得るために、1つのウェスタンブロッティング検出が終わったあとに、そこで用いた抗体を除く作業(ストリッピング処理)が必要です。このストリッピング処理は、除去したい抗体以外にも他のタンパク質までメンブレンから除いてしまうリスクがあり、定量的な解析への悪影響、および検出感度の低下を引き起こします。また、再度ブロッキングからの実験フローを行うことになるので、手間や時間も2倍かかってしまいます。

ECL Plexでは、各蛍光色素で複数のシグナルを分離して検出できるため、多重検出の場合でもこのストリッピング処理が必要ありません。したがって、簡便な操作で定量的にデータを得ることができます。


ECL Plexの利用例 「コントロールサンプルを用いた定量解析」

コントロールを同時に検出できるためサンプル間の誤差補正が容易です
図2 アクチン発現量を指標にした p38 リン酸化の定量解析
上:pp38とアクチンのウェスタンブロッティング
下:アクチン発現量をコントロールとしたpp38相対シグナルの変化
●サンプル: 293T 細胞、TGF- β刺激後 0, 2.5, 5, 15 分
●一次抗体: 抗リン酸化 p38(Thr 180/Tyr 182)ポリクローナル抗体、抗アクチンモノクローナル抗体
●二次抗体: ECL Plex goat-a-rabbit IgG-Cy5、ECL Plex goat-a-mouse IgG-Cy3
●検出: Hybond-P、Typhoon 9410

※ 図下の表で示される pp38 発現量はアクチンシグナル強度で補正された値です。

最後に、ECL Plexを用いた目的タンパク質発現量の定量解析例を示します。ここでは、TGF- β刺激によって亢進されるリン酸化 p38(pp38)の定量解析をご紹介します。ここでは、pp38と発現量の指標とするコントロールタンパク質(アクチン)をそれぞれ異なる CyDye で同時検出し、pp38 の発現量をコントロールとの相対シグナル強度により示しました。少ない解析ステップでサンプル間の誤差を補正することができ、より定量的にリン酸化の亢進を評価することができました。このように、“感度・定量性・多重検出”といった蛍光検出の特長を十分に生かしたウェスタンブロッティング解析は、幅広いアプリケーションへの応用が期待されるテクニックであり、今後の発展にも注目です。


まとめ

ECL Plexを用いたウェスタンブロッティングでは、簡単な操作で定量性の高いデータを得ることができます。蛍光検出の特性を生かした多重検出アプリケーションはいろいろな使い道がありますので、みなさまの研究内容に合わせてご利用いただけます。蛍光イメージャーをご利用できる環境にある方は、ぜひECL Plexをお試しください。

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