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アルカリ性条件下でも安定な組換えproteinAを採用した
MabSelect SuReがモノクローナル抗体製造のコストパフォーマンスを向上

高純度で安全性が高く費用対効果の高い医療用抗体へのニーズはガンや免疫疾患などの治療現場で大幅に増加する傾向にあります。 それにともない生産現場では、総コストを下げるために、処理量を増加させ、担体の寿命を延ばすことが大きな課題となっています。MabSelect SuReはアルカリ条件下でも安定なリガンドを使用しており、高価な定置洗浄(CIP)剤に代わって0.1~0.5 M NaOHでの洗浄が可能となるため、製品あたりの価格を抑えることができます。


医療用のモノクローナル抗体(MAb)の年間需要は数トンレベルまで上昇しているため、Protein Aによる製造プロセスでは製品あたりの価格をコントロールし、可能な限り削減する必要があります。 費用対効果の高い定置洗浄手順を利用することでコストを大きく削減することが可能です。

定置洗浄 - Protein A担体利用者のジレンマ

定置洗浄中の高pH条件に対するProtein A担体の耐性は、ここ数十年にわたりモノクローナル抗体製造の過程に大きな問題を投げかけてきました。 担体の洗浄に一般的に使われる水酸化ナトリウム(NaOH)などの塩基性洗浄剤を用いることはできず、代りに、NaOHで洗浄した場合に担体寿命が縮まるのを覚悟するか、高コストの6.0 M塩酸グアニジンなどのカオトロピック剤を用いるかしか選択肢はありませんでした。高濃度のNaOHに耐性のあるProtein A担体はこのジレンマを飛躍的に解決してくれるはずです。 本報では、MabSelect SuReの評価結果と、rmp Protein A Sepharose 4 Fast Flowや従来のMabSelectと比較した結果について報告します。

MabSelect SuRe

MabSelect SuRe(Superior Resistance)リガンドはProtein AのIgG結合部位の一つを遺伝子工学的に改変することで開発されました。 特にアルカリ感受性の高いアミノ酸部位を安定性の高いものと置換しました。 改変の結果、C末端システインを組換え部位として有する、マトリックスへの一点結合が可能なテトラマー構造となりました。

Mab Select SuReと他のProtein A担体の比較

スループット

清澄化した細胞培養上清(0.5 g/L 滴定)を最高推奨流速条件で3種類の担体に添加しました(rmp Protein A Sepharose 4 Fast Flowについてはベッド高15 cm、流速150 cm/h;MabSelectおよびMabSelect SuReについてはベッド高20 cm、流速500 cm/h)。 MabSelect SuReの場合、流速特性と高結合容量の組合わせにより、短いレジデンスタイムで高結合容量であるという特性が実現し、スループットがrmp Protein A Sepharose Fast Flowの3倍(データ未掲載)になっていることが漏出点カーブから示されました。

精製

3種類の担体の精製能の評価について以下にまとめます。 確実に高い生産性を得るため、添加量は推奨条件よりも20 %削減しました。 すべての場合において、10 mMリン酸ナトリウム、150 mM塩化ナトリウム(pH7.2)5 CVずつをそれぞれ平衡化と添加後の洗浄に用いました。 ステップワイズ溶出では4 CVの100 mMグリシン(pH 3.5)を用い、この段階で溶出されない物質は3 CVの100 mMクエン酸(pH 2.1)で洗浄しました。
図1ではMabSelectとMabSelect SuReのクロマトグラムがほとんど同一であることを示していますが、MabSelect SuRe担体の結合性の高さに起因したわずかな差が認められました。 精製産物をさらに解析した結果、タンパク質精製、回収物質のクオリティ、不純物の除去という観点からは3種の担体間で大差はありませんでした。 しかし、Protein Aの洗脱についてはMabSelect SuReの方がMabSelectよりも低く抑えられました。 したがって、MabSelect SuReの精製パフォーマンスはMabSelectおよびrmp Protein A Sepharose 4 Fast Flowと同等以上といえます。

図1. MabSelectおよびMabSelect SuReの精製能は原則的に同等です。
図1. MabSelectおよびMabSelect SuReの精製能は原則的に同等です。

定置洗浄時のMabSelect SuReのNaOHに対する安定性

最後に、0.1 M NaOHで100サイクルの精製を行った際のMabSelect SuReの安定性を評価しました。バッファー系は上述と同様のものを用いました。 担体を1回の精製を終えるごとに0.1 M NaOHに15分間曝露しました。 MabSelect SuReの漏出点容量(10 %)はサイクルを行う中で5サイクルごとに測定しました。図2にその結果を示します。10 %漏出点は減少がみられたにもかかわらず(A)、全100回の精製を通じて93 %超が回収されていることからもわかるように、操作条件下での相対的なパフォーマンスへの影響はありません(B)。 NaOHを用いた定置洗浄は、宿主細胞タンパク質(HCP)や担体内での微生物増殖によるコンタミネーションのリスクを回避するとともに、最終産物内のキャリーオーバーを防ぐこともできます。
図3は、漏出点容量試験においてMabSelect SuReにより溶出されたヒト化IgG4画分のウェスタンブロットです。 この結果から、担体を1回の精製が終わるごとに0.1 M NaOHに15分間曝露することでコンタミネーションやキャリーオーバーを回避できることが確認できました。 レーン4のHCPスタンダードとレーン6~17の精製済みIgG4(1~100回の精製中得られた)を比較すると、HCPが溶出液に残存していないことがわかります。 レーン18と19(それぞれ50回と100回のキャリーオーバー)にはタンパク質のバンドがないことから、間欠的に定置洗浄を行った場合、連続した精製サイクル間でキャリーオーバーやクロスコンタミネーションがないことを示しています。

図2. 100回の精製と定置洗浄を行った場合10%漏出点容量(A)の微減は回収量(B)に影響を与えません。  図2. 100回の精製と定置洗浄を行った場合10%漏出点容量(A)の微減は回収量(B)に影響を与えません。
図2. 100回の精製と定置洗浄を行った場合10%漏出点容量(A)の微減は回収量(B)に影響を与えません。
図3. 1~100回の精製/定置洗浄を行って溶出されたヒト化IgG4画分のウェスタンブロット結果から、MabSelect SuReが混入物や不純物の除去に優れていることを確認できます。
図3. 1~100回の精製/定置洗浄を行って溶出されたヒト化IgG4画分のウェスタンブロット結果から、
MabSelect SuReが混入物や不純物の除去に優れていることを確認できます。

まとめ

MabSelect SuReの性能はMabSelectやrmp Protein A Sepharose 4 Fast Flowと同等以上ですが、定置洗浄時のアルカリ性条件への耐性が非常に優れています。 担体のアルカリ安定性が強化されているため、NaOHによる定置洗浄が塩酸グアニジンなどの腐食性の定置洗浄剤に代替できることを示しています。 こうした代替により、モノクローナル抗体の製造コストを著しく削減できます。 ガンや免疫疾患などの治療を目的とするモノクローナル抗体医薬品に対するニーズは、今後ますます増えることが予想され、製造にMabSelect SuReを用いれば効果的な経済性の利点を享受できます。 最終産物の質も改善されるはずです。


 謝辞

本報は、Lonza Biologics(英)のDr Martin Smithの研究を元に作成しました。

 補足

Downstream GAb 2004の要約。 3rd International Symposium Downstream processing of Genetically Engineered Antibodies and Related Moleculesからの抜粋(コード番号11-0027-25)。


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