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抗体精製をマスターしよう (10)

Yolk sac 抗体IgY の精製

抗体精製イメージ第9回「モノクローナルIgMの精製」では、IgMの精製フローについてご説明しました。今回はHiTrap IgY Purificationカラムを用いて卵黄中のIgYを精製するスキームをご紹介していきます。IgY はIgG と構造が類似していますが、Protein A やProtein G とは結合しません。ここで紹介するHiTrap IgY Purification カラムはIgY が2-Mercaptopyridine にThiophilic interaction で結合する 性質を使用したアフィニティー精製カラムです。このカラムにより短時間で高純度なIgY が精製可能になります。

HiTrap IgY Purification カラムによる精製

準備するバッファー

  • 10 × 溶出バッファー 0.2 M リン酸ナトリウム, pH 7.5
  • 結合バッファー: 20 mM リン酸ナトリウム, 0.5 M 硫酸カリウム, pH 7.5
  • 溶出バッファー: 20 mM リン酸ナトリウム, pH 7.5
  • 硫酸カリウム: 粉末で準備してください

サンプルの調製

卵黄の周囲についた卵白を超純水で洗い流す

 

卵黄を超純水で10 倍に希釈

 

ゆっくりと混和(6 時間、4 ℃)

 

遠心分離(10,000 × g、25 分間、4 ℃)

 

HiTrap IgY Purification カラムは卵黄1/4 個分からの精製が適量です。以後の操作は1/4 量で進めてください。

上清に上清の1/9 容の0.2 M リン酸ナトリウム, pH 7.5 を添加

 

終濃度0.5 M になるように硫酸カリウムを添加

 

溶解後、0.45 μm フィルターろ過

保存中に沈殿が生成することがあるので、使用直前にろ過してください。


HiTrap IgY Purification カラムによる精製操作

カラムの準備

カラムに気泡を入れないように注意しながら、シリンジまたはシステムに接続
25 ml の超純水を流速5 滴/ 秒(または~ 10 ml/min)で送液

カラムの平衡化

25 ml の結合バッファーを流速5 滴/ 秒(または~ 10 ml/min)で送液

サンプルの添加

サンプル溶液を流速5 滴/ 2 秒(または~ 5 ml/min)で送液  

サンプルの添加流速が速すぎるとカラムを素通りすることがあります。

非吸着成分の洗浄

25 ml の結合バッファーを流速5滴/秒(または~10 ml/min)で送液

素通り画分は廃棄せずに回収し、精製操作終了後にSDS-PAGE やEIA によってIgY が素通りしていないことを確認します。

サンプルの溶出

25 ml の溶出バッファーを、流速5 滴/ 秒(または~ 10 ml/min)で送液

溶出画分の確認

参考:抗体精製をマスターしよう(5)抗体の純度確認と定量方法

精製IgY

 

バッファー交換

 

カラムの洗浄・保存


Polyethylene glycol 6000(PEG 6000)によるサンプル調製

上記方法でIgYの回収率が悪かった場合、脂質の除去が不完全な可能性があります。その際はPolyethylene glycol 6000(PEG 6000)により脂質を完全に除去してからIgYの精製を行うことをおすすめします。

準備するバッファー

  • 10 × 溶出バッファー 0.2 M リン酸ナトリウム, pH 7.5
  • 結合バッファー: 20 mM リン酸ナトリウム, 0.5 M 硫酸カリウム, pH 7.5
  • 溶出バッファー: 20 mM リン酸ナトリウム, pH 7.5
  • 硫酸カリウム: 粉末で準備してください
  • PEG6000: 粉末で準備してください

サンプルの調製

卵黄の周囲についた卵白を超純水で洗い流す

 

卵黄を20 mM リン酸ナトリウム、pH 7.5で5倍に希釈

PEG 6000 を終濃度3.5 % になるように加えゆっくりと混和(20 分間、室温)
遠心分離(10,000×g、25分間)

上清

PEG 6000 を終濃度12 % まで加え、ゆっくりと混和(20分間、室温)
遠心分離(10,000×g、25分間)

沈殿

20 mM リン酸ナトリウム、pH 7.5で溶解
PEG 6000 を終濃度12 % になるように加えゆっくりと混和(20分間、室温)
遠心分離(10,000×g、25分間)

沈殿

冷50% エタノールで溶解
冷却遠心分離(10,000×g、25分間 )

沈殿

20 mM リン酸ナトリウム、pH 7.5 で溶解

HiTrap IgY Purification カラムは卵黄1/4 個分からの精製が適量です。以後の操作は1/4 量で進めてください。

終濃度0.5 M になるように固形(粉末)硫酸カリウムを添加

溶解後、0.45 μm フィルターろ過

保存中に沈殿が生成することがあるので、使用直前にろ過してください。

 

IgYの精製

HiTrap IgY Purification カラムによる精製操作にしたがってIgY を精製します。

Yolk sac からのIgY の精製例

卵黄1/4 個分より抗ヘモグロビンIgY を、HiTrap IgY Purification カラム5 ml で精製した例を紹介します。ELISA で活性を、SDSPAGEで純度を解析した結果、純度70 % 以上のIgY を回収率約80 % で得ることができました。

図1. アフィニティークロマトグラフィーによる精製

図1. アフィニティークロマトグラフィーによる精製

  • サンプル: 抗ヘモグロビンIgY を含む50 mlの卵黄抽出物(1/4 卵黄分)
  • カラム: HiTrap IgY Purification カラム5 ml
  • 結合バッファー: 20 mM リン酸ナトリウム,
  • 0.5 M 硫酸カリウム, pH 7.5
  • 溶出バッファー: 20 mM リン酸ナトリウム, pH 7.5
  • 洗浄バッファー: 20 mM リン酸ナトリウム,
  • 30 % イソプロパノール, pH 7.5
  • 流速: 5 ml/min(149 cm/h)


表1.各画分の抗ヘモグロビンIgY 活性分析(ELISA)

表1.各画分の抗ヘモグロビンIgY 活性分析(ELISA)

素通り画分にはIgY 活性はほとんどなく、回収率は78 % でした。

図2. 各画分のSDS-PAGE 分析(非還元)

図2. 各画分のSDS-PAGE 分析(非還元)

  • ゲル: PhastGel Gradient 10-15
  • システム:PhastSystem
  • 染色方法: 銀染色

レーン1:LMW マーカー
レーン2:卵黄抽出物
レーン3:素通り画分(No.2 ~ 7)
レーン4:溶出画分(No.12 ~ 16)
図3. ゲルろ過クロマトグラフィーによる純度の確認

図3. ゲルろ過クロマトグラフィーによる純度の確認

  • サンプル: 200 μl のHiTrap IgY Purification 溶出画分
  • カラム: Superdex 200 HR 10/30
  • バッファー: 50 mM リン酸ナトリウム, 0.15 M NaCl, pH 7.5
  • 流速: 0.5 ml/min(38 cm/h)

HiTrap IgY Purification カラムを使用して精製したIgY 画分の純度はピーク面積の分析から70 %以上であることが確認されました。


10回にわたりお届けしてきた「抗体精製をマスターしよう」も今回で最後となります。長い間おつきあいいただきましてありがとうございました。なお、バックナンバーをご覧になりたい方はTechnical Tipsのページをご覧ください。


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