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分光光度計 - バイオ研究を支える身近な物理 - その1

アインシュタインというと、相対性理論が有名です。彼は1921年にノーベル賞を受賞しましたが、しかし、この受賞は相対性理論に対するものではなかったのです。
ノーベル賞は光量子仮説による光電効果の解明に対するものでした。光電効果とは「金属に紫外線やX線などの光をあてると、電子が飛び出す」現象です。

光とは?

アインシュタインのノーベル賞が相対性理論ではなく光量子仮説だった理由の一つには、相対性理論が難解でその重要性が理解されなかったということもあります。しかし、光電効果の解明自体も大変重要な研究成果でした。では、なぜ光電効果の解明がそれほど重要だったのでしょうか?

19世紀のヤングの干渉実験やマクスウェルの古典電磁気学の成果から、20世紀初頭には、光は波であり電磁波の一種である、という理解が定着していました。光が起こす現象としてその当時広く知られていた干渉、回折、屈折などは、波としての性質で十分に説明できました。
電磁波の一種としての光の分類

しかし、やがて波としての理解では説明できない現象が発見されました。それが光電効果です。ドイツの物理学者フィリップ・レーナルトの定量的研究によると、(1)個々の電子のエネルギーは光の強さではなく波長に影響され、どんなに弱い光でも波長の短い光ほど高いエネルギーの電子が放出される、(2)放出される電子の数は光の強さに影響される、という結果でした。
光が単なる波であるとするなら、電子は波による運動からエネルギーを得るはずですので、弱い光ではエネルギーが小さくなるはずですが、光電効果の実際の現象は異なっていたため、19世紀の物理学では説明のできない難問とされていました。

そこで、アインシュタインはマックス・プランクの量子仮説をもとにして光の量子である光子(アインシュタイン自身による名称は光量子)の概念を導入し、光電効果を説明しました。光量子仮説によると、光子はE=hν(E:エネルギー、h:プランク定数、ν:振動数)で表されるエネルギーをもち、光の振動数が高まればエネルギーも大きくなることになります。光の速度cはλ(波長)×νで表されるので、振動数が高い光は波長が短くなり、光電効果の減少と一致しています。このように、この仮説は光電効果を十分に説明できたため広く受け入れられるようになり、それに伴って光は粒子としての性質ももつことが認識されるようになりました。

光の二重性の例(光電効果)
物体にぶつかる前の光:波 物体にぶつかった光:粒子
普段は波として進みますが、、、 金属にぶつかると粒子として振る舞い電子にエネルギーを与えます

光電効果の解明は、後の真空管の発明へとつながりエレクトロニクスの発展に大きく貢献することになります。実用化を重視するノーベル賞の選考委員会が、相対性理論でなく光量子仮説による光電効果の解明にノーベル賞を与えたのは、当然のことだったのかもしれません。

どうして分光光度計で濃度を測定できるのか?

実験の中では、核酸の定量や標準曲線の作成に何気なく分光光度計を使いますが、分光光度計の濃度測定には、実は光が波の性質をもちながら、特定のエネルギーをもった粒子でもある、ということが大変重要なポイントとなっています。

(1)分光 - 光の波動性の応用

プリズムは、ニュートンの分光実験以来長い伝統のある分光器です。プリズムは、媒質によって光速が異なり、また、短い波長ほど大きく影響されることを利用して、各波長の光を分離します。
[Point]プリズムは波長によって屈折率が異なることを利用します
波長の短い紫や青の光は大きく屈折し、波長が長い赤の光はそれほど大きく屈折しません。

プリズムの利点は、構造がきわめて簡単で、安価に作れることですが、一方で、プリズムによる分光では精度に限界がある、屈折率が材料に依存する、プリズムの材料を透過できる波長の光に用途が限られるといった欠点もあります。このため、きわめて特別な例を除いて、現在市販されている分光光度計には、プリズムは利用されていません。

現在市販されている分光光度計では、「回折格子」を利用して波長の異なる光を分離しています。最も簡単な回折格子は、細いスリットを多数平行に並べたものです。

スリットが十分に細い場合、回折によって光がスリットの周囲に広がってゆき、それぞれのスリットが点光源のようにはたらきます。その結果、それぞれのスリットから出た光の間で干渉が生じ、特定の角度で特定の波長の光のみが強められることになります。強められる光の角度や波長は、入射する光の角度によって変化するため、回折格子の角度を変えることで、任意の波長の光を得ることもできます。

なお、現在の回折格子は鏡面加工した金属(主にアルミニウム)に多数の小さな溝をつくったもので、反射光の間の干渉を利用しています。
[Point]プリズムは光の屈折を利用した分光器ですが、回折格子は回折と干渉を利用しています

波長がよく似た2つの光を区別する際に、どの程度小さな違いの識別ができるかを、回折格子の分解能といいます。分解能は、回折格子の溝の間隔に左右され、分子生物学用の分光光度計では1 mmあたり600本から1200本程度のものが多いようです。溝の本数が多い(溝の間隔が狭い、つまり分解能が高い)回折格子は、製造に高い技術を要しますので高価になります。ただし、分光光度計全体での分解能は、回折格子以外の光学系(レンズやミラー、光源など)にも影響されるため、通常は回折格子自体の分解能よりも低くなります。また、スペック上は回折格子の溝の密度が同じでも、その他の光学系の精度の問題で、分光光度計の分解能に差が生じることもあります。

「その2:吸光 - どのようにして分子に光が吸収されるのか」へつづく

  • 0.5~5 µlで測定可能な微量サンプル分光光度計:NanoVue
  • PC不要で3秒起動のコンパクト紫外・可視分光光度計:GeneQuant 1300GeneQuant 100

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